東京スカイツリー®

高さ634メートルの東京スカイツリー®は、地上デジタル放送を発信する世界最大の自立式電波塔です。東京の新しいシンボルとなったこのタワーは、隅田川などの景観を背景に、日本の伝統的な美意識と最先端の技術をともなったデザインが融合した「時空を超えたランドスケープ」と呼ばれるにふさわしい姿をしています。

 

実証されるBIMの可能性

日本において634メートルという超高層建築物は、これまで誰も経験したことのない未知の領域であり、工事を請け負った大林組にとっても大きな挑戦となりました。構造上すべての鋼管柱は斜め方向に傾いており、またそれらの形状は節ごとに異なっているため、ひとつとして同じ形状はありません。このような厳しい条件下の工事では、通常では想定できない様々な施工上の問題に対処する必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

3次元設計システム選定の背景

事前検証による干渉回避や建方精度の確保が必須であることを考慮し、3次元設計システムの活用が不可欠であると判断しました。そこで、いくつかのソフトウェアを比較検討した結果、幹事ファブリケーター各社で導入されており、特殊形状の鋼構造設計において実績がある構造系BIMソフトウェアTekla Structuresが採用されたのです。

「ファブリケーターが作成したBIMモデルをゼネコンが工事管理に再利用することは、業界にとっても大きな変化です。地組ブロックや製作単位など、必要なグループごとに定義し、それぞれの重量や重心位置も把握できるTekla Structuresは、施工現場に近いCADであると言えます。BIMの活用方法について、さらに検討していきたいと思っています」と、大林組 技術研究所 主任研究員 金子智弥氏は、今度の展開に期待を寄せています。

 

生産設計・工事計画・管理

実際のイメージを正確に再現することができる3次元モデルは、発注者や設計監理者に対する設計意図の具現化の確認だけではなく、工事計画の説明にも活用されました。3次元モデルには、形状が複雑な主構造の施工性を加味した詳細な納まりだけではなく、メンテナンス用の足場やタラップなど細かなピースも入力されています。上空で安全に作業ができるようモデル上での機能検証を行い、設置位置や形状が最終決定されました。

また、ライトアップ設備や放送事業者の設備など、別途工事で取り付けられる部品や仮設ピースも含めた、個別に存在する情報も同じモデル上にすべて表現されています。詳細なモデルに基づいてすべての取合いを説明することで、プロジェクトの初期段階においてもスムーズに最終形の承認を得ることができました。その他、各建設段階におけるタワーの形状や鉄骨建方手順を分かりやすくシミュレートできる点も、発注者や設計監理者との情報共有だけではなく、近隣に対し理解を得るための説明にも役立っています。

 

 

 

潜在的問題点の発見と解消

従来は、図面が設計監理者・施工管理者とファブリケーター間で共有される主な媒体でしたが、本プロジェクトでは、情報共有のプラットフォームとしてBIMモデルが活用され、計画の可視化、協業の効率化、詳細な技術検討や施工計画の立案に大きな役割を果たしました。
 

プロジェクトの初期段階から、毎週のように、設計監理者(日建設計)、施工管理者(大林組)、ファブリケーター各社が集まる定例ミーティングが開催され、BIMモデルの情報を共有し、参加者全員が課題を共通認識した上で、具体的な解決方法の検討が行われました。

様々な情報をひとつのBIMモデルに与えることで、図面上では確認することができなかった新たな問題が見つかることもあります。また本タワーのように大規模で難易度の高いプロジェクトでは、各段階における様々な情報の統合や共有が高品質な施工を行う上で不可欠と言えます。工事計画を可視化し、入念な事前検証により問題点の要因を撲滅することは、想定外の手戻りの発生や工事が滞るという事態を未然に防ぎ、円滑なプロジェクト進行にも貢献しています。




定例ミーティング後にファブリケーター側で修正が反映された場合は、Tekla Structures Web Viewerのデータ用に変換したモデルデータを日建設計や大林組の計画担当者にメールで送付し、修正箇所の確認が行われました。モデル情報の共有による問題点の検討は、現場やファブリケーターのスピーディーな対応を可能にしています。また、大林組社内の管理部門、発注部門、事務所内スタッフや協力会社向けの工程説明にもBIMモデルが活用され、日付情報を加えたモデルは、現場での建方ステップの確認にも活用されました。

 

 

 

 

「タワーに取り付くあらゆる部材を3次元モデルに配置し、繰り返し事前検証(干渉回避)を行うことで、現場での修正作業(手戻り・不具合修正)をなくし、滞りなく施工を行うことができました」と、大林組 新タワー建設工事事務所 工事長 長野義邦氏は、BIM導入の大きな効果について述べています。

Obayashi - Kaneko

ファブリケーターが作成したBIMモデルをゼネコンが工事管理に再利用することは、業界にとっても大きな変化です。地組ブロックや製作単位など、必要なグループごとに定義し、それぞれの重量や重心位置も把握できるTekla Structuresは、施工現場に近いCADであると言えます。BIMの活用方法について、さらに検討していきたいと思っています。
Tomoya Kaneko
Senior Research Engineer
Obayashi
Tokyo Sky Tree
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