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AFASスタディオン

2019年8月、オランダ、アルクマールで起きた悲劇にサッカーファンはショックを受けたことでしょう。AFASスタディオンのモレナールスタンドの屋根の一部が強風で崩壊したのです。幸い、試合はなく、けが人はいませんでしたが、その被害は甚大なものとなりました。構造上の接合部の設計に欠陥があり、ジョイントの溶接の厚みが足りず、過去に受けた強風によるダメージが崩壊の遠因になったのです。

2019年末、意匠設計と構造設計にASK Romein社が選出され、BAM Bouw en Techniek社と協業することになりました。その後、新しい屋根の建設の完全請負契約が2020年5月に締結されました。このコラボレーションプロジェクトでは、ASK Romein社は鉄骨構造物の建設におけるエンジニアリング、製作、組み立て全般を担当しており、安全性と品質が約束されました。

設計
新しい屋根は、意匠設計事務所のZJA社がデザインしました。まったく新しい屋根の建設はスタジアムの周囲で行われ、既存構造物とは離れて行われています。メインスタンドの屋根は、重さ600トン、スパン170メートル、高さ17メートルの巨大なトラス(メガトラス)で支えられています。トラスの建設はスタジアムの隣で行われ、巨大なクレーンを使用してスタジアム上部に設置されました。

ZJA社による屋根のリノベーション設計では、スタジアムの周囲のスペースを有効に活用するデザインになっており、スタジアムの外からクレーンのような構造物で屋根を支えています。この新しい屋根は直線形状で、スタジアム内部に30メートル突き出す格好となっており、以前と比べて雨や風により強い構造になっています。

Engineeringエンジニアリング

エンジニアリングでは全工程でBIMが最大限に活用されており、プロジェクト関係者間での明確なコミュニケーションや異なるソフトウェア間でのシームレスなやりとりを実現しています。デザインだけでなく、技術的にも非常に感銘を受けるプロジェクトになっています。

既存構造物と新構造物には多くの接点があるため、3Dスキャナーで計測した点群データをエンジニアリングと組み立ての工程で活用しています。この点群データはIFCデータに変換され、Tekla Structuresに参照モデルとしてインポートして使用されました。このモデルはプロジェクトのさまざまなフェーズで役立てられています。

 

建設現場
建設をスムーズに行うため、組み立て責任者と現場監督はタブレットやノートパソコンを使用して3次元モデルとそれに付随する図面を常時Trimble Connectで確認し、すり合わせを行っています。この手法は、従来のように図面を用いた作業よりも効率的でした。例えば、接合部やボルト径などは整備士がひと目で理解することができます。リンクする設置用の図面を開くのも容易で、建設現場で問題が発生した場合でも、エンジニアリングチームへのフィードバックをすぐに共有できます。さらに、誰もが最新の情報を入手でき、同一の図面・帳票類を使用して作業したため、ミスコミュニケーションや作業の不正を最小限に抑えることができました。