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Puuvilla ショッピングセンタープロジェクト

大規模なリノベーションプロジェクトにおける BIM コラボレーション

約 100 年前に紡績工場として使われていたPorin Puuvilla は、2014 年、一部に工場の面影を残しながら、オフィスや住宅販売センター、倉庫、駐車場を備えた大型ショッピングセンターへと生まれ変わりました。

この大規模なリノベーションプロジェクトに参加した 13 の企業は、モデルベースの設計を行い、プロジェクト全体を通して BIM を活用することで、建設プロセスと建物の品質を著しく向上させています。

プレキャストコンクリートの設計から製造、施工を請け負った Parma 社は、非常にタイトなスケジュールの中で BIM に取り組みました。豊富なモデル情報を製造と施工で広範囲に活用することはもちろん、全関係者のニーズを考慮し、各フェーズでの関係者間のコラボレーションに役立てることを意識してモデリングを行っています。

 

Parma 社、モデル情報を最大限に活用

このプロジェクトは入札段階から BIM が活用されており、同社ではモデルを使用した積算や先進的な建設手法の提案も行っています。今回のプロジェクトでは、詳細設計事務所 2 社、製造業者 7 社、組立業者 2 社と提携して、プレキャストコンクリート約 1 万ユニットを納入しました。同社から詳細設計を請け負った 2 社は Tekla Structures を使用し、シームレスな連携によって、一切のミスが無い As-Built BIM モデルを作成しています。スラブの設計者は BIM モデルから必要な詳細情報を取り出して利用しており、プレキャストスラブの形状や施工位置、および建物のセクション情報については、図面は使用せず BIM モデルから直接 ERP システムに転送されました。さらに、モデルが持つ部材のステータス情報(詳細設計の進捗)をミーティングで活用し、プロジェクトの進捗管理にも役立てています。厳しいスケジュールの中で詳細設計を完了させ、BIM コラボレーションによって高い品質を実現したおかげで現場でのエラーを未然に回避したことが、建設関係者の間で高く評価されています。

製造における BIM の役割 

タイトなスケジュールの中で成功したカギとなったのが、Eメールや書類を極力排し、代わりに BIM モデルをコミュニケーションツールとして有効活用したことです。Parma 社がモデル内のステータス情報を利用して部材の設計進捗を常にモニタリングすることで、製造業者は事前に材料を手配し、迅速に部材を製造することができました。また、寸法と材料の情報を直接テクラモデルから製造業者の ERP システムに入力し、ヒューマンエラーの防止につなげています。

部材の材料や型枠、数量に関する正確な情報は、Tekla Structures の BIM モデルで確認することができるため、製造用の図面が揃っていない段階でも、材料の先行手配が進められました。ステータス情報は、日々ERP システムからテクラモデルにフィードバックされ、他のプロジェクト関係者は Tekla BIMsight を使用して、現場から最新のプロジェクト情報にアクセスすることができました。 

このプロジェクトでは、プレキャストの製造工程も記録的なスピードで進められています。作業者には豊富なモデル情報が常に伝達され、製造中の視覚的な確認が行われました。製造担当者は、部材を施工する日付情報をテクラモデルに入力し、製造スケジュールのモニタリングを行っています。 

製造が前倒しで行われている、あるいは遅れている部材についても、Tekla Structures の BIM モデル内で表示するようにしました。「BIM で検討箇所を可視化できるため、意思決定がより確かなものになりました。そのおかげで施工作業も迅速に進めることができたのです」と、Skanska 社のチームメンバーは語っています。

プレキャストモデリングのガイドラインを導入したコラボレーション

このプロジェクトを成功に導いた重要な要因が、フィンランドのプレキャスト業界におけるモデリングに関するガイドライン (BEC 2012 ガイドライン)を採用したことです。これによって、詳細設計を行った設計事務所2 社は、基準となる共通のガイドラインに沿って作業を進めることができました。 

このモデリングのガイドラインは、主にプレキャスト部材の製造と現場での作業をサポートするものであり、これらに必要なモデル情報を含むよう設計されています。他のプロジェクト関係者も、部材名や日付情報の入力など、製造に必要な情報をモデリングに含めることに合意したため、特にプレキャスト部材の製造業者と施工業者がモデル情報の恩恵を受けることになりました。

こうして作成されたモデルは一貫した情報を有するため、これを効果的に活用することでコストや時間、材料の無駄を無くすことができ、プロジェクト全体に利益をもたらしています。ルールを共有することで、設計事務所や担当者が異なる場合でも、統一した BIM モデルを作成することができるのです。