パシラ地区Tripla開発プロジェクト

2019Tekla BIM Awards 2019で最優秀賞&一般投票首位を獲得

審査員のコメント:

まれにみる大規模BIMプロジェクトにおいて、自由なコラボレーションにBIMモデルが活用された画期的な事例です。最新のソリューションを試行しながらもっとも実用的なものを検討し、必要に応じてカスタムメイドしています。施主を含め、プロジェクト全体を通してBIMをさまざまな用途で活用しています。異なる建設要件がBIMによって広範に統合され、「このプロジェクトはBIMなしでは成功しえない」と言えるでしょう。

投票者のコメント:

「規模と多様性で突出したプロジェクトで、BIMが初期からさまざまに活用されています。BIMなしでは成功しなかったと思います。施設管理にも引き続きBIMを使用するそうですね」

「課題が多く、多様性に富んでいるので、BIMの活用を紹介するパイオニア的なプロジェクトと言えそうです。こういったプロジェクトがもっと増えてほしいですね!」

「デジタルの未来を体現したプロジェクトですね」

「BIMの認知度を見事に上げてくれた重要なプロジェクトだと思います」

 

首都圏の新たな大規模複合施設

Triplaはヘルシンキ、パシラ地区にある3街区の複合エリアで、Triplaモール、オフィス、マンション、ホテルの建設とパシラ駅の改修を含む大規模プロジェクトです。総敷地面積は36万3,000㎡で、完成するとTriplaモールは出店店舗数でフィンランド最大のショッピングセンターになります。Triplaは既存の東パシラ地区と西パシラ地区をはじめ、そのエリアの南北にある新興住宅地をつなぎ、中央ヘルシンキに新たな活気をもたらします。2015年に着工し、モールと駅は2019年10月にオープン。その他の施設は2019~2020年にかけて、フェーズごとに随時完成する予定です。

プロジェクトの全関係者がBIMやデジタル化に対してオープンな姿勢で試験的なアプローチをとったことが、プロジェクトが成功した最大の要因になっています。さまざまなソフトウェア製品やテクノロジーがテストされ、プロジェクトに使用されています。既存のソリューションがない場合、カスタムのソリューションや手法を確立して、この大規模な開発プロジェクトを支援しています。BIMモデルの構築とモデルベースの可視化は、さまざまな関係者間での交渉はもちろん、マーケティングにおいても重要な役割を担いました。モデルは情報源であり、建物の状態を理解する手段でもあるので、設計者は日常的にモデルを使用しています。さまざまな設計と情報を調整し、統合するのは、特に難しい業務なので、共有したBIMモデルが重要な役割を担います。BIMは、構造物とインフラのエンジニアリングを適合させるのに役立ち、異なる設計要件の成果物を期日どおりに納品するための必要条件でもあります。現場のBIMモデルはクラウドで共有することになりました。

意匠設計のモデルは、膨大なデータサイズがITの課題になりました。これには、モデルをユニットに分割し、公開済みのモデルと帳票類を実際の建物のソリッドモデルから切り離すことで対応しました。現場のBIMモデルは建設現場と関連するやりとりを調整するのに役立ちました。モデルは絶えず更新され、スタッフ400人の間で共有されたほか、ロジスティクスの計画にも活用されました。

 

BIMですべて設計

掘削した岩盤表面のレーザースキャンデータもモデルにインポートされ、別々の統合モデルに分けられました。これらは建物に今後入居する店舗の設計の際にソースデータとして利用されます。図面とBIMモデルを統合することで設計を可視化し、設備の調整と統合にはセクションモデルが利用されています。協力会社はTriplaのBIMモデルすべてにアクセスできるようになっています。例えば、電気工事士は現場でノートパソコンから統合モデルを確認できます。BIMベースのツールのおかげで、ファサードのワークショップに参加した専門家らは、すぐに窓のサイズや仕様を確認することができました。これによって、モデルからリアルタイムで建物のエネルギー性能を確認できています。ワークショップが終わると、ファサードの技術的な要件はプロジェクトレベルで全員に周知され、最初のコスト試算を作成することができました。

 

モデリングされた情報を、製作計画で広範囲に活用

本プロジェクトでは、数種類のTeklaソフトウェア製品が現場計画、数量見積り、スケジューリング、フォローアップなどの建設前段階と建設段階で使用されています。現場打ちコンクリート建設業者や鉄筋加工業者もモデリングでTeklaを使用し、既成のコンポーネントをTekla Warehouseからダウンロードしてプロジェクトで活用しました。あらゆる設計要件の参照モデルが構造・製作の基本・詳細設計のソース情報として使用されています。モデルデータは、鉄骨ファブリケーターの製作計画に利用されました。ファサードの部材搬入情報も詳細にモデルに組み込まれ、こうしたモデルは他の設計要件にアクセスできます。これにより、印象的なファサード建築が実現しました。

構造設計者が作成したカスタムコンポーネントは本プロジェクトで広範囲に使用されています。またIFCモデル内の数量は、型枠エリアをIFCモデルに追加することで現場用に拡張され、必要な型枠の数量算出に利用されています。構造解析と構造計算はRFEMソフトウェアを使用して行われ、その後Tekla Structuresに入力されました。

構造設計者の見地から、包括的なモデリングは、他の関係者に設計ソリューションを可視化して示したり、正確な数量を出したり、エラーなしで設計を適合させたり、モデル内の最新の参照データ(貫通孔など)を活用したりするのに役立ちました。図面とBIMモデルはいずれも、施主に納品されています。

 

プロジェクト参加企業

ディベロッパー/施主:YIT社

総合建設業者:YIT社

意匠設計:Arkkitehdit Soini & Horto社

構造設計、詳細設計:Ramboll Finland社

地質工学、電気系統設計:Ramboll Finland社

空調設備、自動スプリンクラー設計:Granlund社

BIMコーディネーション:Gravicon社

現場計画、ロジスティクス:Ramirent Finland社