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リンナンマキ遊園地 ジェットコースター

ジェットコースターの基礎と乗車施設をモデリングし、遊園地の既存アトラクション間に建設
フィンランド、ヘルシンキにあるリンナンマキ遊園地のジェットコースターは、2018年に建設工事を開始して、2019年に完成しました。

LSM(リニア同期型モーター)をダブルで搭載した北欧最速のこのジェットコースターからは、首都ヘルシンキの素晴らしい景色を眺めることができます。

古いマジックハウスは取り壊され、ユーティリティールームと新しいジェットコースター用の乗車待ちエリアが新設されました。十分な敷地を確保するために、古いジェットコースター2つと売店1店舗も取り壊されました。本プロジェクトには、約3,500立米の生コンクリート、25万kgの基礎用鉄筋、約200個のストレストアンカーが使用されています。コース全長は1,104m、最高点は海抜52mです。2両編成のコースターは最大時速106 kmに達し、乗車中に4回反転します。

本プロジェクトは遊園地のオフピークシーズンに実施することで合意していたため、夏のピークシーズンを過ぎてから解体作業を開始し、翌年の夏前までにアトラクションを完成する必要がありました。構造物の基礎部分の構造設計に加えて、AFRY Finland社はユーティリティールームとメンテナンスルーム、乗車待ちエリアの設計も担当しましています。

既存の構造物や設備との距離を十分に確保することが、ジェットコースターの形状を決めるうえで大きな課題となりました。新しい構造物はレールのすぐ近くに建てられ、レールを支える柱のうち1本は売店の中央に据えられています。構造物周辺にセーフティーエリアを確保するため、隣接する全ての建物と設備をレーザースキャンしました。また、高さによって景観が異なることも、基礎部分を設計するうえで考慮すべき課題となりました。遊園地の地下には大きな岩石トンネルがあり、ストレストアンカーを設置するのに12 mも掘削する必要がありました。レーザースキャンした岩石トンネルのモデルは参照データとして活用されています。

BIMで地形情報を設計に活用
施工業者は建設予定地の岩盤表面のレーザースキャンを広範囲に渡って実施し、その情報は掘削やストレストアンカーの設置など、基礎部分の設計に利用されました。BIMモデルを活用した調整作業により、構造上の干渉を未然に防止し、安全な距離の確保を実現しています。

実際の地形を反映させた設計を行うことで、スムーズな施工を実施することができました。モデルを利用してボルト位置を建設現場と共有し、実際の寸法もBIMモデルで確認しました。プロジェクト開始時に懸念された課題は全て解決され、プロジェクトの成功につながっています。

Tekla Structuresはレーザースキャンした地形データを取り込むことができるので、そのデータを元にレールを固定する基礎部分を設計することができました。設計には実際の地形情報が正確に反映されているので、基礎部分の鉄筋や打設に必要な量の生コンクリートを発注することができました。Tekla Structuresを使用することでプロジェクト全体を理解し、設計の確認や調整、正確な材料発注が可能になりました。また、プロジェクトに関する様々な情報を共有することができるので、新しいプロジェクトメンバーへの説明もスムーズに行うことができました。

参照データとして、レール納品業者の3D DWGデータ、既存構造物のレザースキャンデータ、地形の点群モデル、新設する建物の意匠モデル(IFC形式)を活用しています。基礎の荷重データは、構造計算に使用したソフトウェアからExcelファイル形式で出力し、施主にはBIMモデルのかわりにAutoCADで作成した設計図面を納品しています。

意匠系BIMソフトウェアで作成した意匠モデルと構造モデルは定期的にIFC形式でエクスポートして、設計の調整会議で使用しました。BIMベースで設計することにより設計プロセスがスムーズになり、設計要件間の不整合を未然に防止することができました。意匠設計の変更はIFC形式のデータで提供され、変更箇所の詳細はメールで共有されました。IFC形式のファイルはプロジェクト全体を通して多く利用されています。

  
プロジェクト参加企業

構造設計(レール基礎、機械室、乗車待ちエリア):AFRY Finland社

基本設計:HIMLA arkkitehdit社

施工業者(乗車エリア):KRP社

基礎施工業者(レールエリア):Kaivuupalvelu Finer社

レール納品業者: Intamin worldwide社.

施主: Lasten Päivän Säätiö sr社