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(LinkCK)ブロミンマキ下水処理施設

北欧でもっとも処理能力の高い下水処理施設の設計で膨大な量のデータ管理を実現
フィンランドのエスポー市ブロミンマキに建設されている新しい下水処理施設は北欧でもっとも処理能力が高く、水からリンを99%除去することができます。

10ヘクタールを超える敷地に建物と貯水槽が設置されたこの施設では、北欧流の建設方法により地下を掘削しています。2014年から下水道の掘削を開始し、2021年に試験的な施設の運用が始まる予定です。本プロジェクトは多様性に富み、課題が多い一方で、非常に興味深い設計になっています。

一番の課題となったのは、プロジェクトで扱う膨大な量のデータを管理することでした。BIMなしでは設計プロセスの実行は困難を極めたことでしょう。

本プロジェクトの設計では、Tekla Structures、Trimble Connectなど数多くのモデリングソフトウェアが使用されています。

本プロジェクトで使用したコンクリートは9万3,000立米、鉄筋は900万キログラム、構造鉄骨は150万キログラムに及びます。下水処理施設には98メートルのスリップキャスト成形による排気筒と12キロメートルのエアーダクトが含まれ、建物の最深地点は-23.300、最高地点は+143.500です。

AFRY Finland社は意匠設計から構造設計、電気設計、計装制御設計、地域計画、岩盤エンジニアリングに至るまで幅広くプロジェクトに関わっています。様々な要件で使用されるモデルのソースデータはすべて、IFC、STEP、3sD DWG、LandXML形式でやり取りされました。AFRY社ではボルト留めされたADKブレース接合部など、プレキャストコンクリートの詳細設計で自社のカスタムコンポーネントとプラグインを使用しています。

   

用途に合わせて多様に組み合わせたモデル
本プロジェクトの構造設計はすべてBIMベースで行われ、フィンランドのCOBIM(共通BIMガイドライン)で規定される詳細レベル(LOD)よりも詳細にモデリングされています。

プレキャストユニットのサプライヤーであるParma社では、Tekla Model Sharingを使用して製作計画や詳細設計の確認を行い、モデルから直接寸法情報を出力して薄いシェルや中空コアスラブを製作しました。製作計画用のエクセルレポートはモデル・オーガナイザー・ツールを使って作成しています。入札中にプレキャストユニットの数量を算出し、発注する際に必要となる壁の型枠の付属品リストを作成するためにIFCファイルが使用されました。

構造解析と構造計算にはAutodesk Robot Structural Analysis ProfessionalとRFEMソフトウェアが使用されています。階段のファイルはTeklaからRobot Structuralに渡され、バイオガス施設の下から伸びる配管網はRobot StructuralからTeklaに渡されてモデリングに利用されました。図面とBIMモデルはいずれもクライアントに納品されています。

各プロジェクト関係者は毎週自社のBIMモデルを提出し、他の設計者によるチェックが行われました。モデルは、用途に合わせて多様に組み合わせて使用されています。意匠設計者はRevit Architectureに構造のIFCモデルを取り込み、構造設計者は意匠設計者によるIFCの参照ファイルをソースデータとしてTeklaにインポートするなどして設計情報のやりとりを行いました。この際に図面はほとんど使われていません。構造設計者は参照モデルを更新する際、IFC Change Managementツールを使用して変更箇所を確認し、Microsoft Teamsのグループ内で変更箇所の画像を共有しました。変更ログはプロジェクトチーム全体でも更新されています。設備エンジニアリングにはMagiCADソフトウェアが使用されました。

全体会議は週に2回、調整会議は週に1回実施されています。建設会社と構造設計者のタスクリストはTrimble Connect内で更新、共有されました。プレキャストコンクリートユニット、現場打ちコンクリート、プレストレスト構造、構造鉄骨の設計および詳細設計といったあらゆる構造のモデリングにはTeklaが使用されています。現場打ちコンクリートと多形態の構造物のモデリングや図面生成では課題もありました。また、Cadmatic Plant Designソフトウェアが使用され、地域の水道設備の設計基準が順守されています。

プラントエンジニアリングの導入を開始する前には、作業員の安全対策についてモデル内でしっかりと検討されました。これによって情報提供依頼書の数も増え、安全要件を遵守した設計が行われました。

設計と建設現場の作業進捗はステータス情報を利用して更新しています。最初に設計のステータスがTeklaにアップロードされ、建設会社がプロジェクトに参加したあとはTrimble Connectを使用してステータスを共有しました。ステータスの更新にはデスクトップとモバイル端末が使用されています。

  

プロジェクト参加企業
クライアント:ヘルシンキ地域環境サービス局

プロジェクト管理会社:YIT社

意匠、構造、電気、設置、地質工学設計、都市設計、岩盤エンジニアリング:AFRY Finland社

プラント、処理、空調設備(水および配管)設計:FCG Finnish Consulting Group社、Ramboll Finland社

空調設備設計:A-Insinöörit Suunnittelu社

設備会社:Are社

プレキャスト製作:Parma社

現場打ちコンクリートのプロジェクトに役立つTeklaソフトウェアの詳細はこちらをご確認ください。