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キルピラハティ工業地域の廃水処理施設

廃水処理施設、Tekla Global BIM Awards特別賞を受賞

審査員のコメント:

さまざまな国の設計者がシームレスなコラボレーションによってモデリングした最高レベルの安全性を誇る産業プロジェクトです。このプロジェクトは非常に効率的かつ迅速に遂行され、環境への影響も十分に考慮しています。また、統合モデルは建設会社と協力会社によって製作工程で役立てられています。

廃水処理施設の改修工事で、より安全かつ効率的な精製プロセスを実現

フィンランドの石油精製会社であるNeste社は、ポルヴォーの自社精製所にある廃水処理施設の改修工事により、廃水処理と精製能力を改善することで企業競争力の強化と環境への影響を低減しています。産業廃水を化学的・生物学的に処理するなど、すべての工程をバルト海など周辺エリアにとって安全なものにすることが同社の目標です。

使用された6,600㎥のコンクリートのうち3,000㎥はプレストレスト・コンクリートで、設計にかかった時間は14,000時間、5カ国から20人以上の設計者が参加し、現場作業の95パーセントが投資決定からわずか1年半の2019年6月末に完成しています。投資額は計6,000ユーロ。大きく丸いコンクリートタンクはプレストレスト・コンクリート構造で作られています。中心となって設計を行ったNeste Engineering Solutions社はタンクに亀裂が入らないよう、10キロメートルの補強(テンドン)を使用しました。

非常にタイトなスケジュールで遂行された同プロジェクトでは、タンクの壁やスラブが極端に厚くなるのを避けるため、プレストレスト・コンクリートを採用しています。Neste Engineering Solutions社のチームはスケジュールや建設会社との交渉、設計管理、モデルによる可視化を用いた建設会社とのコミュニケーション、図面納品を担当。ポルヴォー市が定める要件により、Sweco社が第三者機関として図面確認を請け負っており、初期段階の基本設計もサポートしています。このプラントは非常に有害な工業廃水を扱う上に、タンクが海に隣接しているので、本プロジェクトは最高レベルの安全カテゴリに分類されています。

 

モデリングにより、設計プロセスの理解向上、先進的なソリューションの適用範囲の拡大、大幅な時間短縮を実現
プロジェクトではTekla StructuresやTekla Model Sharingが活用されました。事前の数量計算や見積り作成、打設順序の決定のほか、鉄筋加工業者との鉄筋配置調整、資材の数量計算、現場レイアウト、進捗やコストのモニタリング、空調設備の設計もTekla Structuresで行われ、配管設計も参照モデルとして取り込んでいます。さらに、モバイル端末でもモデルを参照しています。湾曲した円形のコンクリート部材に使用する鉄筋のカスタムコンポーネントやレポート作成のためにUDAフィールドも活用されました。

クライアントに納品する図面やモデル、製作計画やプロジェクトの初期段階での管理ソフト用のデータファイル、鉄骨構造向けの自動加工システム用データファイル、設備製造に関わる企業が発注された構造物のサイズを確認するためのIFCファイルなどがTekla Structuresから出力して利用されています。また、DNGファイルも異なる設計要件間でのデータのやりとりに使用され、あらゆる建築設計情報と関連する変更情報がTeklaを用いて共有されました。プラント設計システムはIntergraph Smart3Dが使用されています。

このような産業プロジェクトで3次元モデルやTeklaを利用するメリットは広範囲に及びます。Teklaモデルを使用して他部署と連携することで、実際の建設現場のイメージが分かるだけでなく、詳細な変更情報も確認できることで、干渉を回避し、手戻りや追加のコストも削減できます。Teklaモデルのスナップショットを使って、効果的に問題箇所を説明することもできました。モデリングによって設計プロセスの理解が深まるだけでなく、技術的な決定もこれまで以上に幅広く、柔軟に行えるようになり、時間を大幅に短縮することができます。

プロジェクト参加企業
総合建設業者:Neste Engineering Solutions社

構造設計、詳細設計:Neste Engineering Solutions社

構造設計支援および確認:Sweco Finland社