ソチ・オリンピックスタジアム、テクラを活用して巨大な曲線形状の屋根構造を実現

 

2014 年2 月に開催された第22 回冬季オリンピックの開会式が行われたのが、大会のメインスタジアムであるフィシュト・オリンピック・スタジアム(ロシア、ソチ)です。ロシアの宝石師ファベルジェのイースター・エッグからインスピレーションを得て設計されたこのスタジアムは、一体化した壁と屋根が日差しを受けて輝き、オリンピックにふさわしい美しい舞台として注目を集めています。特徴的な形状をした鉄骨の屋根構造を完成させたロシアのエンジニアリング会社Mostproekt 社は、特殊構造物や橋梁を得意としています。同社は、鉄骨ファブリケーターのKurgantalmost 社と緊密に連携しながら、テクラを使ってこのプロジェクトにBIM を適用することを決定しました。

「テクラのソフトウェアによって、複雑な屋根構造を正確な3 次元モデルで可視化し検討することができたため、より分かりやすく、完成度の高い設計を行うことができました。」と、Mostproekt 社のKonstantinRaznoglyadov 氏は述べています。同社は設計の中核を担い、本プロジェクトを取りまとめました。

 

 

 

設計の課題となった滑らかな曲線形状

建設業者にとって、オリンピックスタジアムの建設は一大イベントです。巨大で複雑な構造を持つため難易度が高く、また、数十億人もの世界中のスポーツファンを失望させないためにも、建設計画や施工段階での不具合の発生を未然に防止しなければなりません。

フィシュト・オリンピック・スタジアムは、ゆるやかに湾曲した巨大な曲線形状を持つ鋼構造物であり、梁の節点の計算や、基本構造物との接合部の寸法を求めるのにも高い技術が必要とされます。また、Mostproekt 社はモデリングを行う過程で、接合部材の大きさが輸送上問題になることを発見し、代替案作成のためにテクラのモデル上でシミュレーションを行いました。その結果、出荷の条件を考慮した製品を製作することで、トラブルを未然に防ぐことができました。このような問題の解決にもTekla Structures は大きな役割を果たしています。

特徴的なこのスタジアムには規格外の部材も数多く使用されているため、同社は独自のパラメトリックコンポーネントを作成する必要がありました。テクラのソフトウェアには、標準的な仕口や詳細部品のライブラリが揃っていますが、ユーザーが新しい継手などのルールを自由に追加することができるため、プログラミングの知識がない設計者自身がカスタマイズを行うことで、入力の効率化を実現しました。

 

モデル情報を製作にも活用

Mostproekt 社はテクラを採用した理由の中に、製作のためのあらゆる情報がBIMモデルに包含され、建設のどの段階でもそのモデル情報を活用できるということを挙げています。複雑な屋根構造の設計とタイトなスケジュールという課題を抱えた本プロジェクトでは、このメリットを最大限に活かして、構造物を複数の工場に分けて製作しています。

「私達は、すべての製作工場でテクラを使用しました。これにより変更や調整内容の確認や承認の時間を短縮することができ、手戻りも大幅に解消されました。テクラのソフトウェアなしでは、スタジアムのあらゆる設計変更に対応するのは難しかったでしょう。」と、Mostproekt 社のゼネラルマネージャーOleg Moiseev 氏は述べています。

鉄骨ファブリケーターのKurgantalmost 社は、モデル情報を製作に活用するのみでなく、BIM モデルとTrimble Robotic Total Station を併用して設計内容の確認を行いました。

Mostproekt 社のチーフエンジニアSergey Bessonov 氏は、「テクラのソフトウェアは、設計図やレポート、仕様書といった様々な形式で、正確な図面・帳票類を生成することができます。」と述べています。同社では、テクラから出力した正確なレポートやデータファイルを、シート材などの発注や作業の効率化に役立てました。

スタジアムの特徴

  • 140,000以上のパーツを持つ屋根
  • 40,000席
  • オリンピック終了後、スポーツ競技やイベントの会場として使用
  • パラリンピックの会場でもあり、アクセス良好
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