ウェスト・ターミナル2プロジェクト

 ウェスト・ターミナル2は、2017年3月に完成したフィンランド、ヘルシンキの新しいフェリー用旅客ターミナルで、年間4~500万人の利用が見込まれています。新ターミナルは、乗客がスムーズかつ効率的に乗り降りできる機能性の検討をはじめ、デザインや品質を追求するために、設計から製作、建設まで、多くの関係者がBIMを活用してプロジェクトを遂行しました。

 意匠、構造、設備設計にそれぞれBIMソフトウェアが導入され、湾曲した屋根、傾斜したひさしとファサード、高さのあるガラスの壁を含む幾何学的なデザインの建物の設計には、Tekla Structuresが採用されました。

 

 主構造はもちろん、基礎部分の現場打ちコンクリート部も細部までモデル化し、さまざまな材質で構成されたフレームの設計は、複数の技術者が単一のTekla Structureモデルにアクセスして同時並行で作業を行いました。空調設備モデルから出力された貫通孔のデータは、自動化された機能を用いて、Tekla Structuresモデルに反映しています。

 意匠および空調設備の設計者は、構造設計者からモデルデータを毎週受け取り、それを設計調整に役立てました。季節ごとの日光の差込みと照明設備による省エネルギー効果の検証には、Trimble SketchUpのモデルが活用されています。

 地表面の岩盤に加えて水面下の岸壁、周囲のインフラ設備もモデル化され、この情報を利用して杭の長さなどを定義したり、建物のBIMモデルとの調整が行われています。

 

 プレキャストコンクリートファブリケーターも、BIMモデルを使って製作と建設に役立て、建設会社は、統合モデルやその属性情報を日々の現場で積極的に活用しています。

 タイトな納期を守るには、意匠や構造、設備などのそれぞれの設計者間での継続的なコミュニケーションが必要となるため、BIMコーディネーターが調整において重要な役割を果たしました。コラボレーションを促進するために、全関係者が統合モデルとコメントを共有、施主もこの統合モデルを利用して設計進捗を把握しました。携帯端末とVR(バーチャルリアリティ)を利用したり、ウォークスルーの画像を使って建物内部の検討も入念に行っています。

 

 コンセプトの段階では想定していなかったさまざまな課題は、BIMモデルで設計調整を行う段階で顕在化され、プロジェクトメンバーは早期に解決策を検討することが可能になりました。特に湾曲した屋根構造の把握は、モデル情報がなければ不可能だったとプロジェクトチームは振り返ります。BIMは、さまざまな設計の要件を調整し、難易度の高い建設を短納期で実現するのに非常に優れたツールであるのはもちろん、設計の理解をより深めるのに役立ったと施主も評価しています。